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2011年5月30日 (月)

ZIPPO #15

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「特価¥9800(汚れあり)」

行きつけのショッピングモールで、そう書かれて展示されていたスタシル#15を見つけてから3週間以上が経過していた。
いわゆる訳あり品だが、ZIPPO好きなら一度は手にしてみたいスターリングシルバー。
プレーンモデルしか興味のない私に、シルバー独特の鈍い輝きを放ち誘惑し続けている。
それは貴金属という以前に、この地球上に存在するマテリアルの一つとしての魅力に満ちあふれている。

ここを訪れるたび、ショーケースにあるそいつとにらめっこだった。
その姿は、さしずめトランペットと黒人少年。
9,800円か。ネット通販でも12,000円以上するものが、9,800円とはいかがなものか。

いかがなものか・・・

いかがなものか・・・・・

いやお買い得だと思いますよ充分に。
でもライターごときに一万円ってどうよ?
火がつきゃいいいんだよ火がつきゃー。
だいたい今はお気に入りの音のいいブラスと#200があるし。
それに銀のZIPPOとかさ、ちょっとキザっぽくね?
そんな葛藤が渦巻いて、いつも二の足を踏んできた。

「すいませんこれ、この『汚れ』ってどんな程度ですか?」

あぁついに声を掛けてしまった。
ついにである。
取り出して見せてもらったところ「どこに汚れが??」という感じ。どうせ使っているうちに傷や汚れなんていくらでも付くし、それが味ってもんだ。
ついでに開閉音も聞くことが出来た。
これは噂通りだ。噂通り鈍くてつまらん音がする。やっぱりブラスの比ではないね。まるで足下にも及ばない。

「じゃあ、これください」
「はい。ありがとうございま~す」

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結局マテリアルの存在感に負けて買ってしまった。
クロムでもニッケルでもない、この鈍くて柔らかい輝き。
もうZIPPOは買わないと心に誓った。
スタシル、ブラス、#200のどれかが紛失でもしない限りね。

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2007年製。

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カムは削った。

充分覚悟して買ったわけだが、前述したとおり開閉音は相当悪い。
コイツをなんとかしようと、まずはカムをグラインダーで削って薄くし、次にヒンジのコの字もペンチでいじくった。
結果、「コン」だった音が、なんとか余韻を引く「シャイーン」程度まで向上。
カムをいじくるのはいくらでも構わないが、ケース側にあるヒンジをペンチでグリグリするのは、値段を考えると心臓に悪い。

また一つくだらない男のロマンで貯金を削ったが、後悔はしていない。

 

 

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