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2021年11月30日 (火)

イボセイヨウショウロに関する7つの戒め

前回記事のコメ欄でイボセイヨウショウロ採取の可能性について安易に煽ってしまった感があり、実は反省していますwww
ネット上のイボセイヨウショウロに関する情報では、あたかも容易に採取出来るような記述が多いように思えますが、ここまでの探索を振り返るとそんなに甘いものじゃないというのが個人的な見解ですので、今回はトリュフガサのネガティブ面を主体に綴ってみたいと思います。しかも長々と(笑)

【無限大の可能性】
一般に言われている主な発生条件とは
①撹拌地
②ブナ科の植生
③風通しの良さ
④適度な湿度の林床
⑤イノシシなど野生動物の生息
と言ったところでしょうか。しかしこれらの条件を満たしているポイントを何ヶ所も探索しましたが、当たったのは今のところたった2ヶ所のみ。確率的にかなり低いと言わざるを得ない結果です。またすべての条件を満たしていなくとも、発生する可能性は否めません。要するに植生さえ合えば、あとの条件はどうであれフィールドワークに徹するしかないのです。

【ポイント開拓の難しさ】
何と言ってもこれが最大の難関。普通のキノコなら見回すだけで終わるものを、地面を凝視するのはもちろん、ひたすら堆積した落ち葉をめくっての探索となります。それも広範囲にわたっておこなうわけですから当然時間がかかります。それでもターゲットが出現しなければどんどん気が遠くなりますので、このガサはまさに自分との戦いです。午前中から行動開始して6時間も結果が出ず探索打ち切りなど当たり前の話で、本当にとんでもない時間泥棒です。さらにフィールドが公園ともなれば、熊手片手に落ち葉引っ掻くオッサンは明らかに不審者(笑)。通行人から奇異な目で見られる覚悟とそれに屈しない精神力を要します。ポイント開拓はどこであろうと常にメンタルの強さが要求されます。
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土曜日の収穫。新規開拓に失敗し、結局は前回のシロの延長上で採取。つまり何も進歩してない。

【発見頻度と運の要素】
運の要素は大事だと思います。ひょっとしたらフィールド到着後、最初の熊手ひと掻きで発見するかもしれません。まずあり得ませんが、私はいつもこれもしくはこれに準ずる光景を夢見ております(笑)。ひと掻きではなくとも、やがて一つでも見つかればそこは有望なフィールドであり、集中力が持続するからです(これ大事)。しかし見つけたからと言って芋づる式に見つかるものじゃありません。前回記事でのあの結果でも、実はかなり広範囲に落ち葉掻きをしてポツンポツンと採取したものなのです。

【一を聞いて十を知る作戦】
何しろ相手は土に埋まっています。前述した通り、可能性を思えば探索時間は無限に膨れ上がります。そこで時間泥棒対策として、例えばフィールド中のここぞというスポット5m×5m、あるいは10m×10mをサンプル的に探索し、なければやめてしまうのも手です。トリュフに限らず、キノコはさらなる奥に行けば見つかるかもしれないという可能性を常に秘めています。だからこそキノコガサは面白くてロマンがありますが、たとえ執念の果てに見つかったとしても、はたしてそれが労力に見合う結果なのかと自問すれば、よほど奇跡的なレア物でもない限りそうでもない場合が多いはずです。そこで植生や地質、あるいは時期を鑑みて、この先を探索しても可能性が低いと早期に決断し、さっさとそのフィールドを諦めるのが得策であると私は思います。要は深追いすればキリがないということです。

【でも行動しなけりゃ始まらない】
結局これなんですよね(笑)
すべてのガサに通ずる至極当たり前の言葉。時間泥棒だろうが空振りしようが、結局はフィールド調査を繰り返すしかないのです。調査済みのフィールドも後日別のエリアを掘ってみたり…なんてこともします。気配がなく探索開始早々に気が遠くなるのもザラですが、とにかく新たなシロ発見というトロフィーが欲しい。そしていつか必ず見つかるはず。今や私の原動力はロマンだけです。

【特異なキノコゆえの達成感】
味に関しては賛否両論あると思います。私的にまだまだ判断途上のキノコですが、もしこの味が美味い部類であるならば、古来より日本人に愛されてキノコハンドブックにも掲載されて然るべきなのです。つまり日本人には合わないのではないかと。私はまだまだ実績不足ですが、このキノコを探す意義は食味より存在感にあると思います。国産トリュフといネームバリューに加え、手にした時の質感と重量感(そんなに重くはないけど)。一言で言えばカッコイイわけです。これを苦労の末に採取する達成感はオフシーズンの暇つぶしに丁度いいとは思いますが、失敗すれば貴重な休日の浪費となり若干後悔します。

【トリュフという名に屈した擁護】
ネット上では比較的ポジティブな評価が多い気がしますが、どれも手放しで美味いとは言わず、妙に口を濁して遠回しで褒めてる人が多いようです。なんと言っても「国産トリュフ」ですから、なんとか擁護したい気持ちもわかります。私もその一人で、せっかくカッコイイんだから上手く使わなきゃという気持ちが常にあります。ですから情報を鵜呑みにして味まで期待してはいけません。実際のところキノコ単体での味は微妙です。人を選ぶが料理次第で使える…というのが皆さんの本音じゃないでしょうか。
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パスタにトッピングするものの、最高の相性とは言えない。無いよりあったほうがいいかな?というレベル。

どうでしょうか。イボセイヨウショウロの情報が比較的多いとされている神奈川県に住む私の感想です。「ほな採んなやwww」という声も聞こえてきそうですが、私この手の分布調査が大好きな性分でして、地元のミヤマクワガタなんか一度見つけたらとことん調査したくなってバイクの免許取っちゃったくらいですしww
とりあえず本気でトリュフ探すなら相当な根気と覚悟が必要で、なおかつ味は期待しちゃいけないということを訴えたかったのです。実際のところ前回記事から3回、場所にして5ヶ所ほど連敗しています。それらにしても調査不足かもしれない。しつこく探せば見つけたかもしれない…などなど、可能性を考えたらキリがないのです。一発で見つけてしまう幸運な人もいるかもしれませんけどね。まぁ一つ言えることは、金儲けするわけじゃなし、実際はシロを1ヶ所知っていれば十分ってことでしょうかね。

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生米で保管したら、初めて「いい匂い!」と思える芳香でびっくり。米が溶剤臭を吸着した?

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キノコ」カテゴリの記事

コメント

素晴らしい考察ありがとうございました。
とても参考になりました。

自分は一度食べてみて、採るに足らぬキノコ分類入りしてます。
初めて採った時はちょーワクワクしたんですが・・・。

投稿: はかせ | 2021年12月 1日 (水) 14時03分

素晴らしい考察ありがとうございました。
とても参考になりました。

自分は一度食べてみて、採るに足らぬキノコ分類入りしてます。
初めて採った時はちょーワクワクしたんですが・・・。

投稿: はかせ | 2021年12月 1日 (水) 14時03分

そんな…(//∀//)二度も言われると照れるじゃないですかww
採るに足らぬキノコということはシロ放棄したんですね。調査するので今度教えろください。今回はあまりに連敗するので思いのたけをぶつけてみました(笑)
このキノコ、最近ではメディア露出もチラホラ。そんなにイージーで美味いもんでもないぞと主張したかったんです。変なブームになったら困りますので(笑)

投稿: いちろーた | 2021年12月 1日 (水) 15時11分

多彩で詳細な情報ありがとうございます。色々な視点からトリュフというキノコを採ることについて考察されていますね。めちゃくちゃ参考になるとともに、すごくハードルがあがりました。
しかし、明日、初のトリュフ探しに行ってきます。選んだ場所は良くないように思いますが、初の試みなんで、レジャー感覚で行ってきます。ヒラタケやエノキダケがあればいいな~なんて思っていますが、とりあえず目線は地面で、腰を傷めないように頑張ってきます。

投稿: nao | 2021年12月 1日 (水) 21時00分

naoさん、健闘を祈ります。出来れば一発で見つかりますように…
まず苔のある場所に顔を出していないか探して、なければ落ち葉掻きの手順がよろしいかと。トリュフの残骸でも出れば有望なポイントであるはずです。もっとも初見でそこまでのノウハウを要求するのもアレですが、naoさんならきっと大丈夫だと思います。
こいつは一般的なキノコと違って溶けにくい性質です。さすがに食べ頃は逃しますが、春先でも乾燥した外郭や腐りかけの老菌を確認することが出来るので、そういった意味で発見のチャンスは長期間に及びます。
おっしゃるとおりヒラタケやエノキタケも公園キノコと言えますね。こちらは人が入りづらいような鬱蒼とした場所がいいかな?どちらも我が地元ではレア物なので採れたら羨ましいです。

投稿: いちろーた | 2021年12月 2日 (木) 01時13分

折角のアドバイスを頂きながら、見事に撃沈しました。いちろーたさんも行かれたことがあったような気がするブナの原生林を友人と探しましたが、それらしい場所が少なく、良さそうな場所も熊手や棒で探しましたが、かけらすらなかったです。
まあ、久しぶりの山歩きでカエデ類の紅葉もまだ残っていて、自然は堪能しました。キノコはサルノコシカケ系を2つ見ただけでした。
その後、地元近くのクヌギがある公園に行きました。こちらの方があるんじゃないか?って雰囲気でしたが、ダメでしたね。場所の選択が重要で難しいですね。

投稿: nao | 2021年12月 2日 (木) 17時57分

う~ん残念ですね…今回はやや扇動してしまった感があり申し訳ないです(-_-)
ブナ原生林はちと山奥すぎる感ありでしょうか。山中のミズナラで採取している人もいるようですが、やはり本命は里山か公園でしょうね。
他に食えるキノコが出ていれば慰めになるんですが、あっても季節柄ヒラタケぐらいでしょうし、今後何かのついでに探す気でいても結局それなりに本腰入れないと結論の出ない辛いガサだと思います。故に私も「頑張れ」とも「やめとけ」とも何とも言いようがないのが辛いところ。かなりマニア向けかもしれないです(^^;)なんかMより難しいんじゃないかって気がしてきました。
あとは自分のロマン探究心と相談ってとこですね…

投稿: いちろーた | 2021年12月 2日 (木) 23時24分

ありがとうございます。
今後は良さそうな場所の選定をしていこうかと思います。山の奥はとりあえずやめておきます(笑)
樹木の勉強も必要になりそうなので、楽しみながら気長に初ゲットねらいますね!

投稿: nao | 2021年12月 4日 (土) 10時51分

山奥と言っても標高次第かと思います。さすがに1000mとか聞きませんので…
ブログ記事にはしませんが、こちら週末少量ですが一応採れました。しかし新規開拓にはきっちり失敗してます(泣)

投稿: いちろーた | 2021年12月 5日 (日) 23時52分

背景変わって草(茸)

投稿: rennzann77 | 2021年12月11日 (土) 17時57分

画像サイズがイマイチ。おそらく16:9のPC環境だと左寄せで見苦しいですが、マンドクセーのでしばらく放置します(笑)

投稿: いちろーた | 2021年12月11日 (土) 18時35分

良く見ないでベニテンが2つ出てるのかと思ったけど良く見たらベニテン1つも出てなかったww

投稿: あんず坊 | 2021年12月11日 (土) 23時13分

なるほど左のは富士山のベニテンですなwww
これがキノコ目って奴か!

投稿: いちろーた | 2021年12月11日 (土) 23時50分

まさにその通りだと思います。
埼玉で20年近く探していますが、未だに発見できませんから(泣)

投稿: | 2022年2月14日 (月) 14時15分

名無し様(笑)コメントありがとうございます。共感していただき嬉しく思います。
埼玉でもキノコ仲間から採取の報告ありますが、型がイマイチのようです。まぁ型は作柄のタイミングもありますので断言はできませんが…
ネットの情報もかなり少ないようですが、もっともそれ自体氷山の一角という可能性もあるわけで、これも未知数でほんと困りますね。
的の絞りにくさは超一級品。本気で向き合うには定年迎えないと無理じゃね?ってほど気が遠くなりますが、いつしか初物を手にすることをお祈り申し上げます(-人-)

投稿: いちろーた | 2022年2月14日 (月) 17時43分

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